イスラエルのエルサレムで2020年12月27日、朝鮮半島の再統一に関するオンライン会議が行われ、専門家3人が発表しました。発表者はいずれもヘブライ大学でアジア、韓国地域について研究している専門家です。

「朝鮮半島の統一 〜 歴史的、国家的、地政学的側面から 〜」をテーマに開催された会議は、UPFのもとに組織されている専門家ネットワークの一つ、国際平和学術協会(IAAP)のイスラエル支部と、同国の韓国学フォーラム(KSF)の共催で行われました。

宗教間理解と協力のための「エルサレム宗教間フォーラム」の会長であるラビ・ヤコブ・ルフト氏がウェビナーのモデレーターを務めました。

ルフト会長は、2020年2月に韓国・ソウルで開催されたUPF主催のワールドサミット2020における議論に焦点を当てながら議論をスタート。韓国の置かれた状況とイスラエルとの類似点を指摘し、朝鮮半島問題へのさらなる研究が必要であると述べました。

次に、ヘブライ大学歴史学部・アジア研究科の軍事史専門家で、近代日本の研究者でもあるダニー・オルバック博士は、韓国における日本の植民地支配について体系的に説明するとともに、この地域の地政学的な課題を指摘しました。

ヘブライ大学アジア学部で朝鮮半島を中心としたアジアの外交・安全保障政策を研究しているアロン・レフコウィッツ博士は、朝鮮半島が2つの国に分断された経緯に触れながら、その後の歴史の中で、北朝鮮と韓国の間で対話の機会をつくろうとする試みがいくつか行われていることを取り上げました。一方で、近い将来の統一については悲観的見解を述べ、いくつかの障害を指摘。中でも、両国間の経済格差によって、統一には莫大な資金が必要である点、人口動態の不均衡、北朝鮮の金正恩氏による強権体制などがその理由として挙げられました。

朝鮮半島地域に詳しく、現代韓国の社会、文化、経済の研究者であるヘブライ大学のアイラ・リアン氏は、韓国と北朝鮮の社会状況について、そのルーツが古代の王国構造にあるという視点から問題を提起。南北の文化には共通点もあるが、文化的なギャップも大きく、統一は現実的ではないと主張しました。韓国内の年長者は再統一への希望を抱いているかもしれないとしつつ、若い世代は北朝鮮の人々に特別な絆を感じていないと述べました。

続いて、イスラエルUPFの会長であり、エルサレム宗教間理解・協力フォーラムのディレクターを務めるヌリット・ヒルシュフェルド氏が講演。

ヒルシュフェルド氏は、北朝鮮の悲惨な状況についての道徳的ジレンマについて語りました。北朝鮮での飢えと恐怖の生活を語った難民の証言をいくつか紹介しながら、そのような非人間的な苦しみを目の当たりにして、黙っていてはならないという道徳的義務について強調しました。また、ドイツの統一モデルを参考にしながら、現政権への恨みや復讐心を克服する必要があると指摘しました。

最後にヒルシュフェルド氏は、UPFの共同創設者であり、幼い頃に北から逃れた経験を持つ韓鶴子総裁について紹介しました。韓総裁の回顧録である『平和の母』を引用しながら、朝鮮半島の平和的な再統一の必要性について言及しました。