国連では2011年以降、毎年2月の第1週を「世界異教徒間の調和週間」に定め、異なる宗教間の対話と協力を促す取り組みを行っています。各国のUPF支部でもこの期間、各宗教・宗派の指導者を集め、世界平和を究極の目標とする宗教の役割や、宗教間の連携の必要性を議論する記念行事を行っています。

こうしたなか、2月8日には、UPF台湾主催、IAPD-Japan共催による記念シンポジウム「宗教の迫害と対⽴の歴史、和解と発展の契機」が開催されました。台湾・台中市の会場を中心に、日本の会場もオンラインで結んで行われたシンポジウムには、両国の宗教指導者、関係者ら約160人が集いました。

冒頭、主催者を代表して唐彥博UPF台湾理事⻑あいさつ。唐理事長は、宗教は人類の知恵の結晶であると述べた上で、個人だけでなく家庭や地域社会、国や世界により良い影響をもたらすことはすべての宗教に共通した責任であるとし、仏教、キリスト教、新興宗教などの代表が一同に会した今回のシンポジウムで活発な議論が行われることに期待を寄せました。

あいさつに続き、4つのセッションで代表者がプレゼンテーションを行いました。

第1セッション「仏教が経験した法難の歴史と教訓」では、林安梧・慈済大学宗教文化研究所教授が講演しました。林教授は、仏教における対立と克服、そして今日までの発展の歴史について、仏教の基本的な教えとともに解説しました。

続いて、「道教が経験した迫害の歴史と克服⽅法」をテーマに第2セッションが行われ、李豐楙・国立政治大学宗教研究科名誉教授が登壇しました。李教授は老子が書いたと伝えられる「道徳経」について、特に老子が重要視していた「慈」(他人を思いやる慈しみの心)に着目し、その教えについて解説しました。

第3セッションでは、日本から参加した⽯丸志信IAPD-Japanコーディネーター(世界平和宗教連合会長)(=写真左)が、「⽇本のキリスト教に対する迫害の歴史と今⽇の統⼀運動の考察」をテーマに講演しました。

石丸会長は冒頭、日本におけるキリスト教の歴史を概観。1549年に日本に伝来して以降、各地に宣教師が派遣され、西日本を中心に広がっていったキリスト教が、江戸幕府の禁教令によって、厳しい殉教の時代を経て、強制的な棄教を迫る弾圧政策が長く続いた歴史を説明しました。明治初期には近代化の波の中で、ひと時キリスト教の復興があったものの、その後勢いは失速。

第2次世界大戦後、米国の占領下で日本に民主主義を定着させる目的で、キリスト教の布教が進められましたが、その後、共産主義思想が広がりを見せました。石丸会長は、神無き共産主義思想の脅威が日本社会とキリスト教を脅かす一方、文鮮明総裁が早くから共産主義の危険性に警鐘を鳴らし、国際勝共連合を創設して日本、アジア、世界を共産主義から守り、神と人類が願う平和世界を作る運動を展開してきたことを紹介しました。

石丸会長は現在の日本の状況にも言及。特に、日本共産党が中心となって世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を攻撃していることについて、宗教間の対話と協力ではなく対立を煽っているとし、宗教の衰退による霊性の低下は国を危うくすると指摘。今こそ、神に対する揺るぎない信仰と国内外の信仰者の結束が必要だと強調しました。

石丸会長は最後にIAPD-Japanの活動を紹介し、宗教者平和大使が憎しみのあるところに平和をもたらすためにともに祈る活動を行ってきたことを報告しました。

第4セッション「新宗教が現代社会にもたらす貢献」が行われ、各宗教の指導者が自身の信仰する宗教の活動について紹介しました。日本からオンラインで参加した酒⽣⽂弥・浄⼟真宗光寿院住職は昨年の安倍晋三元首相銃撃事件に触れ、事件の真相に触れず旧統一教会バッシングに明け暮れている日本のマスコミを批判。信教の自由を揺るがす愚かな行いをしていることを指摘しました。その背景に国内外の唯物思想にもとづく勢力の暗躍を感じるとも述べました。酒生住職はこの状況を打開するために、魂ある人間として今こそ宗教者は団結し連帯を深めて国境を超えて立ち上がり、霊性への弾圧を聖なる試練と受け止めようと参加者に訴えました。