「ソーシャルメディアが結婚と家族に与える影響」をテーマとしたウェビナーが6月27日、UPF米国の6分野プラットフォームの1つ、IMAP(国際平和言論人協会)の主催で開催されました。3人の専門家が発表し、ソーシャルメディアの功罪とともに、家族や子供たちが悪影響を受けたり、犯罪に巻き込まれないための政策のあり方や家庭内の対処の仕方などについて議論しました。

最初に発表したのは、国連家族NGO委員会執行委員のリン・ウォルシュUPFインターナショナル家庭局ディレクター(=上の写真右下)。ウォルシュ氏は米国における婚姻の3分の1がオンラインの出会いを通して成立していることを紹介。ソーシャルメディアが結婚や家族にもたらすプラスの側面について報告しました。

一方で、ソーシャルメディアの利用時間が増えることで、家族内で夫婦や親子の対話の時間が減ったり、それぞれが異なる情報に接することで相互不和や疑念が生じやすくなるなど、ネガティブな影響もあると指摘。ソーシャルメディアのヘビーユーザーは、そうでない人に比べて、離婚に至る可能性が約2倍になるとのデータを紹介しました。その上で、ウォルシュ氏はソーシャルメディアを利用する時間を決めて、夫婦でよく話し合い、コミュニケーションの時間を多く取るよう呼びかけました。

続いて、コミュニケーションとソーシャルメディアの専門家であり、非営利団体「全国性的搾取センター(NCOSE)」で活動するマドレーン・マッケリゴット氏(=上の写真左下)が報告しました。

マッケリゴット氏はソーシャルメディアに内在する危険性についてデータを用いながら分析。子供たちが1日平均で4〜7時間をデジタル機器(スマホ、タブレットなど)の利用に費やしており、そのうち9〜17歳の3分の1がソーシャルメディア上で性的な情報のやりとりをしているとのデータがあります。また、オンラインを通して児童の性的搾取が疑われる事例が3200万件以上も起こっています。

マッケリゴット氏によれば、こうしたサイトには暴力的、虐待的、人種差別的な性描写が含まれており、子供の性的発達を阻害し、性犯罪につながる可能性も高くなるといいます。マッケリゴット氏は、議員などと連携を図り、危険性について家族ぐるみで理解を深め、家庭内で有害サイトへアクセスしないよう努めることで、子供たちを守ることができると訴えました。

最後に、「ワイアード・ヒューマン」設立者のジェイソン・フロスト氏(=上の写真左上)が登壇しました。同団体は子供たちをSNSなどによる被害から守るために、政治・行政、教育機関、企業などと連携して活動する非営利団体。

フロスト氏は、現在のウェブサイトやソーシャルメディアの一部で、子供たちの心理に悪影響を与え、有害な情報に接しやすいアルゴリズム(表示手順)が導入されていると指摘。未成年者が有害情報にアクセスできないよう、より適切な制限を設けるよう提言しました。

一方で同氏は、子供たちを守る上でより大切なことは、「家族の中でより良好な信頼関係を築き、健全な価値観を共有することだ」と強調しました。