UPF欧州・中東と、ジュネーブ国連事務局の共催による国連「世界父母の日」を記念するシンポジウムが6月1日、国連欧州本部(オーストリア・ジュネーブ)で開催されました。

「平和で安全な社会と世界をつくるための父母の役割」をテーマに開かれたシンポジウムは、子供の幸福と健全な成長のために親が果たす役割の大きさについて認識を深めるために企画されたもので、国連機関をはじめ学界、宗教界、NGO団体などから専門家が参加し、報告を行いました。

子供や若者の教育において親の役割をいかに高めるかをテーマに掲げた第1セッションでは、UPF欧州・中東の大塚克己議長が発題。大塚議長は、「親が子を愛する心こそが良い子育てをするための最も重要な要素であり、親は子供が人生を形成する上で最初に影響を及ぼす立場にある」と強調しました。

また、世界教会協議会(WCC=World Council of Churches)のプログラム責任者を務めるフレデリック・ザイデル氏(=写真左)は、若者や家族の間で自然を大切にする心を醸成するプログラムを提案。学校だけでなく、家庭でも同様の取り組みを行うべきとの考えを示しました。

倫理学の専門家として知られるフリブール大学名誉教授のアドリアン・ホルデレッガー博士(=写真右)は、子育てにおいて、親が思いやりと柔軟性を持つことの重要性を訴えました。一方で、社会情勢が大きく変化し、さまざまな課題に直面する中で、より良い親子関係を築き、効果的な子育てを行うための理想的な環境を作ることが容易でないことにも言及しました。

続く、第2セッションのテーマは「国連SDGs、家庭・学校・社会における人権擁護活動」。

著名なイタリア人ジャーナリストで作家のマルコ・レスピンティ博士(=写真左)は、人権擁護の視点から子育てについて分析。家庭は初めて人権を学び、自分の人間性を発見する場であり、人は誕生した瞬間からそれらを一歩ずつ学んでいくものだと述べました。

このほかにも、ウィーンの国連薬物・犯罪事務所(UNDOC=United Nations Office on Drugs and Crime)で、薬物問題とリハビリテーションのプログラムマネージャーを務めるワディ・マールーフ博士と、ジュネーブの世界保健機関(WHO)の暴力防止ユニット責任者、サビーヌ・ラコトマララ氏が報告。多くの国連機関や国際機関が、親が複雑な課題を解決するのに役立つ豊富なスキルやツールを提供できるとし、家庭への働きかけに力を入れていることを明らかにしました。