国連「女性に対する暴力撤廃の国際デー」(11月25日)を記念する記念行事が2022年11月15日、英国上院議会内の委員会室で開催されました。主催者はサンディップ・ヴェルマ上院議員で、UPF英国も開催に全面的に協力しました。
上院で男女平等問題に関する広報担当を務めたヴェルマ議員は、UPFをはじめ市民活動家やNGO、国会議員らと連携を深めながら、過去10年にわたり活動。女性に対する暴力を非難し、男女間の差別を撤廃するために数多くの行事を主催してきました。同議員は、変化を起こすためには政治との連携を図るべきだと強調しています。
この日、最初に登壇したのは「STORMファミリーセンター」の最高経営責任者であり、家庭内暴力の被害者支援のために尽力しているマリー・ハンソン氏。
冒頭、UPF英国ディレクターのマーガレット・アリ氏が同センターの設立の経緯や活動内容などを紹介。ハンソン氏自身も家庭内暴力の被害者であり、娘も離婚した夫から虐待を受けていたといいます。その上で、前夫に対する刑罰が不十分だとするハンソン氏は、子供が絡む虐待を取り締まる法律を厳しく改正する必要性を訴えました。
続いて、世界連邦運動執行委員会のメンバーでもあるキース・ベストUPF英国理事会議長がスピーチし、世界の約半数の人が今もなお、男女平等の権利を享受できていない現状を指摘。その上で英国の現況を説明し、1918年に初めて女性国会議員が選出されたことを紹介しました。また、キース氏は英国政府がイスタンブール条約(※)を批准し、家庭内暴力を抑制する法体制を整備していることについて高く評価しました。
その後に登場したのは、女性の地位向上や社会進出を支援するコンサルティング会社を経営しているバーニー・デイビス氏。スピーチの冒頭で、地球上からあらゆる暴力をなくすこと、特に女性に対する暴力を根絶することが急務であると訴えました。また、法曹界、および恵まれた境遇にある人々の中でさえも、家庭内における暴力被害については表沙汰にせず、沈黙を保つケースも多いことを指摘しました。こうした状況を踏まえ、デイビス氏はウェールズ政府の女性や家庭内暴力を取り扱う委員会などで、諮問委員として問題解決に向けた提言などを行っていると報告しました。
次に、クリス・グリーン氏(市民団体「性差別に挑戦する男性同盟=Male Allies Challenging Sexism」創設者・英国「ホワイトリボン・キャンペーン」創始者)(=写真右)が登壇。グリーン氏は英国政府がイスタンブール条約を批准したことを評価しながらも、デイビッド・キャメロン首相(当時)が条約に署名してから7年が経過し、男女間の不平等は改善されているものの、まだまだ不十分であると指摘。男性が家事に費やす時間は32%に止まっているというオックスフォード大学の調査結果を紹介し、男性が家事に積極的に関わり、父母が等しく家事を分担しているロールモデルを子供たちに示すよう、参加者に呼びかけました。
(※)イスタンブール条約:「女性に対する暴力と家庭内暴力の防止と撲滅に関する欧州評議会条約」の通称。2011年5月11日にトルコのイスタンブールで署名された女性に対する暴力と家庭内暴力に反対するための欧州評議会の国際人権条約。