国連人権理事会の第42回普遍的・定期的レビュー(UPR=Universal Periodic Review)のワーキンググループの会合が2023年1月23日から2月3日までの日程で行われています。これに合わせ、現在、人権に対する国際的な意識を高めようと、関係する国際NGOもサイドイベントを開催しています。
そうしたNGOの1つである「良心の自由のための団体と個人の連携」(CAP-LC)はこのほど、スイスのジュネーブでサイドイベントを開催。1月31日夜(日本時間)に開かれたパネルディスカッションでは、「安倍首相暗殺事件で浮き彫りになった、日本のヘイトスピーチへの無頓着と『信教の自由』に対する意識の欠如」をテーマに、事件以降、日本で繰り返されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と友好団体に対する権利侵害や差別、信者に対するヘイトスピーチなどが取り上げられました。パネリストはいずれも、戦後の日本国憲法に謳われた信教の自由が著しく脅かされていることに警鐘を鳴らし、日本政府や自治体などに改善を促しました。同イベントには、共催団体としてUPFも参加しました。
CAP-LCディレクターのクリスティン・ミール氏の司会で始まったパネルディスカッションでは、ヤン・フィゲル前EU信教の自由特使(ビデオ収録)、アーロン・ローズ欧州宗教自由フォーラム代表理事(国際ヘルシンキ人権連盟前事務局長)、マッシモ・イントロヴィニエ新宗教研究センター理事長(ビデオ)、ウィリー・フォートレー「国境なき人権」ディレクターなどが発題を行いました。
アーロン・ローズ氏は、政府が個人の自由を制限する際、その背景にその国の政治文化の問題があることを指摘。特に信教の自由や宗教的伝統の保護は複雑な問題だとする一方、ローズ氏は「文化が基本的な自由を侵害する言い訳にはならない」と強調しました。その上で、「第1の自由」といえる信教の自由における人権慣行は、宗教的偏見自体によってしばしば脇に追いやられていると述べました。
続いて、ローズ氏は、7月の安倍晋三元首相の暗殺事件以来、日本国内において統一教会に対する批判やバッシングが繰り返されている状況について言及しました。安倍元首相の殺害について統一教会を非難し、スケープゴートにし、迫害することは、宗教的不寛容が暴力的で悲劇的な結果をもたらし、暴徒の精神とさらに不寛容を生み出す危険性があるとの懸念を示しました。
さらに、政府が現在、日本共産党によって生み出された大衆の偏見とプロパガンダによる追及をかわすため、統一教会の非合法化を目的とした方針を打ち出そうとしていることに対し、遺憾の意を示しました。そして、これらの行動が差別禁止の原則に違反していることは明らかであり、市民的および政治的権利に関する国際規約の信教の自由基準にも違反していると指摘しました。
ローズ氏は声明の最後に、日本の状況に対し国際機関への注意を喚起すると同時に、日本の指導者に宗教的不寛容に対処するための積極的な措置を講じるよう要請したいと訴えました。
また、ウィリー・フォートレー氏は10年以上前、日本の家庭連合やエホバの証人の信者に対する暴力的な強制改宗の事例について、日本を訪れ調査しました。その際の経験から、フォートレー氏は、日本の警察や司法当局のみならず、政府やメディア、さらには国内の人権NGOでさえこの問題に沈黙していると指摘。家族間の人権侵害に対し、法的整備が遅れている現実を強調しました。
共催団体として議論に加わったUPF欧州・中東の大塚克己議長は、左翼勢力やメディアの影響を受けた政府や自治体が、綿密な検証もなく家庭連合と友好団体を排除する動きを見せていることを説明する一方、こうした風潮に異を唱える勇気ある地方議員の一人、細谷典男・取手市議会議員について紹介しました。
「行政は公平中立でなければならない、誰に対しても、である。そして判断は法令に抵触することであってはならない、市議会の議論にあたって最終的には憲法に則して考えていこうと決めた。そうすると憲法に違反しているのは「旧統一教会」の側では無く、批判・非難する側の論調に多く見られる事がわかった」
大塚議長は、細谷議員の著書を引用しながら日本の状況について報告しました。