UPFの主要プロジェクトの1つである「平和と開発のための宗教者協議会(IAPD)」イタリア支部の主催で10月5日、「社会の調和のための精神性の価値」をテーマとしたパネルディスカッションが開催されました。
開会にあたり、UPFイタリアのカルロ・ゾナート会長(=写真左)があいさつし、「高い精神性は、人間を善・調和・美に導く。それは、自己の内面だけでなく、闘争や対立の原因を排除し、世界に平和をもたらす助けとなる」と述べ、精神性や霊性に目を向けることの重要性を強調しました。
続いて、キリスト教、イスラム、仏教の宗教指導者、精神科医や心理学者など7人の専門家がそれぞれスピーチしました。
まず、精神科医のアガタ・ディステファノ氏が登壇し、医学雑誌『ランセット』にも掲載された研究結果を引用しながら、「新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴うロックダウン(都市封鎖)によって、多くの人々が不安感に襲われ、鬱状態になるケースもあった」と述べ、恐怖心が精神的苦痛を引き起こした実例を紹介。それに対し、レジリエンス(精神的回復力)と柔軟性のある態度がそうした苦痛を和らげる上で効果的であると説明しました。
続いてキリスト教・イクイッパーズ教会(Equippers Church)のフランチェスコ・カナーレ牧師が発題し、「精神の力によって、人間は孤独感や迷いから解き放たれ、行くべき方向性が明確になる。すなわち、精神性は生活の指針となるものだ」と指摘。音楽を例えに「必要な音符が1つとして抜けてはならないように、1つひとつの音符が全体の調和を指向し、それぞれが正しく役割を果たすことによって、社会は美しいハーモニーとなる」と訴えました。
また、イスラム指導者のナダール・アッカド師は、調和は神によって創造されたという認識なくしては成し得ないと述べ、イスラムの聖典「コーラン」から、精神と社会の調和に関して記述された聖句をアラビア語で朗読し、解説しました。最後に、パネリストどうしで質疑応答が行われ、異なる専門領域や宗教的背景を持つリーダーらが相互の理解を深める機会になりました。