2月11日から行われていた「ワールドサミット2022・韓半島平和サミット」は、持続可能な世界平和の実現と朝鮮半島の平和統一に向けた韓国国民の統合、国際社会の支持基盤拡大のために、安全保障、外交、経済、気候変動・環境、言論などの多様なテーマで議論が行われました。
最終日となる13日には、韓国・清心平和ワールドセンター(京畿道加平郡)をメイン会場に、米国、アジア、ヨーロッパ、アフリカ大陸を代表した前・現職首脳が登壇(一部は映像)し、朝鮮半島の平和統一と世界平和を実現するためのビジョンと方案を提示しました。

宗教指導者14人の超宗教合水式、ドナルド・トランプ前米大統領の宗教顧問を務めたポーラ・ホワイト牧師による平和祈願に続き、本サミットの共同組織委員長である潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長(=写真右)が歓迎の辞を述べました。

潘氏はメッセージの中で、「パンデミックが我々の世界に再編を促すなか、気候変動も人類にとって緊急の課題。1つの決定的な行動が求められており、我々にはプランBも、もう一つの地球もない」と述べ、「これを解決するためには多国間のパートナーシップが必要であり、建設的な対話と強い意志を発揮し、勇気ある一歩を踏み出してこそ持続可能な未来に進むことができる」と強調しました。

特別演説を行ったUPFの韓鶴子総裁(=写真右)は、戦争と葛藤で綴られた世界と歴史に言及しながら、サミットのテーマである朝鮮半島についての状況について、「地球上で唯一(残った)最後の分断国家である朝鮮半島の南北が統一されれば、東欧と北東アジアにも平和が訪れるだろう」と訴えかけました。

トランプ前米大統領が基調演説

これに先立ち、世界の首脳を代表してトランプ前大統領(=写真下)がビデオ映像を通じて基調演説を行いました。

トランプ氏は大統領時代を回顧しながら、特に4年前の北朝鮮・金正恩総書記との首脳会談について、「平和と協力の種を植えたのであり、これからは花を咲かせ、大きな木に育てていく好機。これを逃すのは大きな悲劇」と述べ、昨今の北朝鮮をめぐる情勢に遺憾の意を示しました。さらに、「地域の積極的な協力と統合、経済発展のためには核兵器の脅威があってはならず、北朝鮮にとって非核化は危機ではなく最高の機会である」と指摘し、「朝鮮半島の安全と繁栄、やがては平和を実現するための努力と祈りへの賛同を願う」と述べて、本サミットへの支持を表明しました。

また、安倍晋三元首相は書面でメッセージを送り、尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)サミット共同実行委員長(UPF世界本部長)が代読しました。メッセージの中で安倍氏は、「朝鮮半島は周辺国家の影響を受けざるをえない地政学的位置にあり、分断された状況による影響はさらに大きい」と指摘。「朝鮮半島の平和のために世界中の指導者の率直な会話が重要だと信じている。正直でなければ信頼関係を結ぶことはできない」と強調し、「今回のサミットが率直な議論の場となり、朝鮮半島の平和統一のための新しい道が開かれる契機になることを祈る」と述べました。

安倍氏は最後に、チャーチル英首相の「ネバー・ディスペア(Never despair)=絶対に諦めない」の言葉を引用しながら、「私たちは自由と民主主義の価値をもう一度考えてみなければならず、そうした価値がもたらす希望を信じなければならない時だと思う」と語りました。

最後には、サミットの成果とともに「一つの領土、一つの文化、一つの民族」のビジョンを盛り込んだ「ソウル宣言」の署名式が行われ、韓総裁と組織委員長のフンセン首相、潘基文前国連事務総長の3人が署名しました。同宣言文は今後、157カ国の首脳に送られます。

トランプ氏、安倍氏のほか、この日、演説した主な首脳は以下の通り。ディック・チェイニー元米副大統領/ダン・クエール元米副大統領/ミシェル・テメル前ブラジル大統領/アンソニー・カルモナ元トリニダード・トバゴ大統領/フェデリコ・フランコ元パラグアイ大統領/ジミー・モラレス元グアテマラ大統領/マヒンダ・ラージャパクサ スリランカ首相/グロリア・アロヨ元フィリピン大統領/デベ・ゴダ元インド首相/ユースフ・ラザー・ギーラーニー元パキスタン首相/シャルマ・オリ前ネパール首相/レニー・ロブレド・フィリピン副大統領/シャナナ・グスマン元東ティモール大統領/ホセ・バローゾ元欧州連合委員会委員長/イリル・メタアルバニア大統領/ロマノ・プロディ元欧州連合委員会委員長/ドミニク・ド・ビルパン元フランス首相/ホセ・マリア・アスナール元スペイン首相/アルビン・クルティ・コソボ首相/ムハンマド・ブハリナイジェリア大統領/マッキー・サルセネガル大統領兼アフリカ連合(AU)議長/ジョージ・ウェアリベリア大統領/カルロス・ビラ・ノヴァサントメ・プリンシペ大統領/グッドラック・ジョナサン前ナイジェリア大統領/リュック・アドルフ・ティアオ元ブルキナファソ首相/ポール・ビヨゲ・ムバ元ガボン首相(順不同)