UPFインターナショナルは6月1日、国連オマーン国政府代表部の協賛のもと、国連「世界父母の日」を記念して「母と父:社会の安定と繁栄に不可欠なもの」と題するウェビナーを開催しました。

世界ではいま、さまざまな場面で家族や親の権利を過小評価したり全面的に攻撃する状況を目にすることができます。犯罪、貧困、紛争、精神疾患などが家族の絆の悪化に関連しているであろう証左が数多く示されています。親の役割が弱まるにつれて、社会的安定が損なわれ、それが若者たちの怒りの感情に火を付け、反社会的でしばしば暴力的な行動を引き起こしている状況を私たちは目の当たりにしているのです。

この日のウェビナーに参加した専門家らはいずれも、こうした問題を取り上げ、家族の役割や価値を内側から強化し、家族中心の政策や原則の周知によって親の役割と権利を強化するために何ができるかについて述べました。

はじめに、国連オマーン政府常任代表のモハメド・アル・ハッサン氏(=写真左)が発言。国連「世界父母の日」がより良い社会の礎としての親の役割を再確認する機会となっていると述べ、その意義に賛意を示しました。
その上で、両親は学童期前の早い段階から、感情的、社会的、精神的、知的なケアを通して、子供の人格、アイデンティティ、社会性を育む役割を果たすことが重要と指摘。ハッサン氏は「子供の心や人格がどう形成されるかが社会と将来の世代の成功に直結する」と述べました。

「アメリカン・プリンシプル・プロジェクト」代表のテリー・シリング氏(=写真右)は、米国の状況について報告。文化的、制度的、政策的な変化の中で、米国社会では親の権利、発言権、責任がますます無力化されていると分析しました。結婚と出産が軽んじられる中、若者が結婚を重要視しておらず、子供をもうけることはお金がかかり、楽しい生活の妨げになると考えていると述べました。

さらに、シリング氏は子供の教育における親の役割を軽視し、これを社会で担おうとする風潮の背景に、子供はみな白紙のように同じであり、教育指導者たちが望むように型にはめることができるという考え方があると分析。一方で、シリング氏は、この“進歩的な教育実験”によって、米国では子供の読解力と数学の習熟率が急落している現状を示しながらその影響について懸念を示しました。さらに、親の関わりを排除することで、子供はますます戸惑いや葛藤を抱え、不適切な環境で自己のアイデンティティや目的を探さなくてはならなくなっていると述べ、確かに役割を果たせない親は存在するものの、親の権利と責任をすべて取り去ることは、子供にとって破壊的な結果をもたらすと強調しました。

このほか、パネルディスカッションでは、子育ては人生で最も困難かつ重要な仕事のひとつであるとの意見が示されました。また、親が子供を導き、守るという当然の権利と責任を維持することは社会の発展にとっても欠かせないとの考えが共有されました。