UPF欧州・中東は6月23日、「朝鮮半島の平和統一:新たなビジョンの探求」をテーマに、ウェビナーを開催しました。

冒頭、司会のUPFドイツのグドゥルン・ハッシネン副会長が本ウェビナーのテーマである朝鮮半島の現状について説明。1950年6月に勃発した朝鮮戦争は、53年7月に休戦協定が結ばれ終結したものの、70年以上が経過した今も南北が北緯38度線で分断されています。分断状況を解消するための努力は今日まで継続して行われているものの、あらゆる試みが失敗に終わっています。ハッシネン副会長はこうした現状を踏まえ、「世界各地で紛争が再燃している今日、朝鮮半島における統一のための戦略も行き詰まりを見せている。南北間のイデオロギー対立を超えた、新たなプランが必要である」と述べ、本ウェビナーにおける議論に期待を寄せました。

最初にスピーチしたのは、韓国・鮮鶴UP大学院大学のキム・インス教授。キム教授は、朝鮮半島統一に対する韓国人の意識について紹介。

ソウル大学統一平和研究院(IPUS)が毎年行っている調査によると、若い世代と高齢の世代の間には大きな違いがあり、若い世代はもはや統一を正当な義務とは考えていないといいます。また、統一が必要な主な理由について、年配の世代では「同じ民族の出身だから」と答えたのに対し、若い世代は「戦争の脅威をなくすため」と答えました。一方で、統一に消極的な理由を聞いた問いでは、「北朝鮮、韓国両国の政治的、社会文化的な違い」や、統一にかかる「コストの高さへの懸念」が挙げられたといいます。

キム教授は韓国国内のこうした見方を紹介した上で、平和統一のためには韓国人の関心を高める努力が必要との考えを示しました。

ロシア科学アカデミー極東研究所ロシア・中国センターの主任研究員であるウラジミール・ペトロフスキー博士は、戦争の脅威、特に北朝鮮側の核兵器の増強と脅威をいかになくすかという視点から発題。現状では、北朝鮮が核兵器を放棄する可能性は低いとした上で、統一のための新たなビジョンを描くためには、南北とその周辺各国が新たなレベルの信頼を築く必要があり、それはこうした安全保障上の懸念に対処することによってのみ達成できる、と述べました。

また、UPF欧州・中東のジャック・マリオン共同議長は、東アジア地域の平和と発展のためには、地域の政治的安定と多国間協力を促進し、この地域の軍事的緊張を緩和しなければならないとし、そのためには朝鮮半島を取り巻く4大国(日本、米国、中国、ロシア)の積極的な関与なしに達成できないと強調しました。