国連安全保障理事会は3月25日、日本や韓国を含む非常任理事国10カ国が共同提案したパレスチナ自治区ガザでの即時停戦を求める決議案を可決しました。イスラム教の断食月、ラマダンの期間中の停戦を求めるもので、15カ国中14カ国が賛成したほか、これまで拒否権を行使していた常任理事国の米国が方針を変え、棄権しました。イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争が始まって以降、安保理で戦闘停止の決議が成立したのは初めてです。
今回の決議案について、米国は昨年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃を明確に非難していないとして棄権しましたが、イスラエルとハマスの間で停戦と人質解放のための交渉が続いている最中に、安保理が停戦を決議することは間違っているとして拒否権を行使してきたこれまでとは方針を転換しました。
一方、イスラエルは声明を発表し、「国際的な圧力によって、人質の解放を前提とせずに戦闘停止の受け入れをイスラエルに強制するとの期待をハマスに与える」として強く反発。また、決議案に「米国が拒否権を行使しなかったことは遺憾だ」として、今週末に予定されていた代表団のワシントン訪問をキャンセルしました。
国連のグテーレス事務総長は決議について、「停戦と人質全員の即時かつ無条件の解放を確保するために実施されなくてはならない」と述べました。