5月3日からスタートしたUPF主催のピースサミット2023では期間中、各界の専門家・有識者が集う分科会セッションを行いました。4日には、UPFの友好団体である世界平和青年学生連合(IAYSP)が、「気候危機と教育」をテーマにしたセッションを開催。48カ国から参加したIAYSPのメンバー数百人が議論を交わしました。

IAYSPは青年学生による国際ネットワークであり、国連経済社会理事会の特殊協議資格を持つ国際NGO団体です。各国の青年・学生を中心に、SDGs達成や各地域社会の課題解決のための活動を展開しており、次世代人材の育成を目指しています。

今回のセッションでは、2人の鮮鶴平和賞受賞者が参加。気候変動危機と若者の教育への公平なアクセスの必要性について、基調講演を行いました。

同賞受賞者のアノテ・トン元キリバス大統領(=写真右)は、気候変動が太平洋島嶼国の1つであるキリバスの環境を破壊し、島の将来の生活を脅かしていることについて、元大統領としての視点から話しました。地球温暖化などの気候変動によって、これまでの生活様式が維持できなくなりつつあると指摘。今後は、生活圏のすべてを失い、故郷を離れて異国の地や文化に身を置くことを余儀なくされる人々も出てくるだろうと述べました。

 

 

韓国・ソウル特別市エネルギー政策委員会のメンバーであるキム・ヒョンテ氏(=写真右)は、環境保護主義に立つ若きリーダーの1人として、危機が迫る中、緊急に行動を起こす必要性を広く知らせるために、自ら青年グループなどを設立した経験を語りました。また、日韓中の3カ国による気候サミットに参加し、北東アジア地域の環境健全性を向上させるための実践的な政策を模索していることも紹介しました。

 

続いて登壇したのは、鮮鶴平和賞受賞者であるアフガニスタンの教育活動家、サキーナ・ヤクービ氏(=写真右)。ヤクービ氏は難民が貧困の状態から抜け出すための第一歩は教育であると強調し、不平等な教育アクセスという課題を克服するためには、行動が必要だと指摘しました。

また、自身のアフガニスタンでの活動により、1万5千人の若者が小学校6年生以上の教育を受けることができたことについて言及。それを達成するために同氏は多くの否定的、懐疑的な意見や反対を押し切って戦わなければならなかったと述べました。

現在、ヤクービ氏が運営する組織はパキスタンとアフガニスタンの両国で2000人以上の有給教師を擁しており、80以上のホームスクールを運営しています。

基調講演の後、ブラジル下院議員のシルビア・ノブレ・ワイアピ氏やIAYSPアフリカ会長のミカ・アマンラマン・カマラ氏などを交えてパネルディスカッションが行われました。