ILC2022 IAPDセッション/第121回超宗教フォーラム

「世界平和における宗教と文化の使命」を主題に、IAPD-Japan主催の第121回超宗教フォーラムが4月11日、開催されました。東京・千代田区の会場に講師、パネリストを迎え、全国各所をオンラインで結び、神道、仏教、イスラーム、キリスト教代表の宗教者平和大使、有識者ら約60人が参加しました。今回のフォーラムは4月上旬から主要各国のUPFが開催している国際指導者会議(ILC)2022シリーズの一環で、UPF-Japan・IAPDセッションとして企画されたものです。

開会にあたり、奈良泰秀・天ノ岩座神宮永代宮司が祝詞を奏上、会の成功とこの議論の先にあるウクライナ・ロシアの平和、ひいては世界平和の実現を祈りました。

続いて、元文化庁長官で外務省参与(国連安保理改革担当)の近藤誠一氏(「近藤文化・外交研究所」代表=写真)が、「世界平和における宗教と文化の使命 〜ウクライナ危機を改めて考える〜 」と題して基調講演を行いました。

近藤氏は「現代人類が直面する諸問題の大半は人間自身が引き起こしたもの。近代文明は『主権国家と経済成長』によって成立したものであり、一方で人間の物質的欲望の充足とその人間の思い上がりが活動全体に通底している」と指摘し、「この『座標軸』を転換し、果てしない『欲望』と『思い上がり』を抑制する新しい『座標軸』を見出す時だ。そのために人類の叡智の結集である『人文知』である先人の知恵と宇宙・自然の法則から学ぶものがある」と述べました。

さらに、「脳の進化から見れば、人間の情動(感情やそれに伴う反応・行動)を司るHPA系(脳の「視床下部―下垂体―副腎皮質」系)に対して、教養や共感力、協調性、倫理を扱う大脳新皮質前頭葉は遅れて発達するため、近代文明において情動の抑制が効いていないのが問題の所在。それゆえ、共感力等を育てる宗教と文化芸術の力に注目すべき」と強調しました。最後に、「新たな『座標軸』の形成にむけて専門領域を越えて対話協力の場を形成していくことに期待する」と結びました。

基調講演を受けてイスラームと仏教の立場から2人のパネリストがコメントしました。「制度の正しい運営のためには倫理道徳の教育が必要、宗教が『大学』の役割を果たすべきだ」「未来の社会の主役である子供たちに、国際平和のために何をすべきか、国連からよき情報を積極的に発信してほしい」などの意見が出ました。ナショナリズムと結びつく民族宗教の限界についての質問も出され、「西欧カトリシズムの行き過ぎた普遍主義の反省に立った、より柔軟な普遍的共同体作りの必要性」が示唆されました。

講演の後、UPFの前身である世界平和超宗教超国家連合(IIFWP)の2000年総会(2000年8月18日 米ニューヨーク国連本部)における文鮮明総裁の基調講演「世界と国連が行くべき道」が紹介され、UPFが目指す国連改革のビジョンを再確認しました。

最後に、川上与志夫IAPD-Japan会長が閉会の辞で今回の議論を総括しました。

会長は、「大局的立場で倫理的に行動する能力が教養。大学教育現場で文化や宗教を学ぶ教養課程が軽視されている。『人間よ気高くあれ』とゲーテは言った。この気高さを失った現代、私たちは人間性を取り戻さなければならないと」と語りました。