首都圏平和大使協議会などが主催する「日本の平和と繁栄をめざす日韓トンネル推進首都圏大会」が7月17日、東京都内の会場で開催され、衆議院議員はじめ各界有識者ら約160人が参加しました。大会の模様はユーチューブでも配信され、200人以上が視聴しました。

会に先立ち、首都圏平和大使協議会の田中富広議長(=写真右)があいさつし、提唱から40年となる国際ハイウェイ・日韓トンネル構想の今後について、「実現には、政治判断だけではなく両国国民がこのビジョンを共有できるかどうかが課題だ」と述べ、日韓関係の改善とトンネル建設実現への機運が高まるよう、運動のさらなる推進と関係者の協力を呼びかけました。

来賓のあいさつ、日韓トンネル推進運動の歩みを綴った映像を視聴したあと、一般財団法人国際ハイウェイ財団の梶栗正義会長(UPF-Japan議長・平和大使協議会会長)(=写真下)が「環太平洋文明を拓く国際ハイウェイ・日韓トンネル」と題して講演しました。

梶栗会長は、日韓トンネル建設の意義について、単に両国間の物理的なインフラ構築としてだけではなく、文明史的な転換期におけるアジアの平和と繁栄、人類全体に影響を与えうるものとして語られなければならないと前置きしました。一方で、当事国である日韓両国民の感情を抜きに語ることはできないと述べて、こうした文明史的な視座を共有するためにも、日本側が過去の歴史に向き合いながら韓国の人々の傷ついた心情に寄り添う努力が必要との考えを示しました。

現在の世界の情勢について、梶栗会長は6月に開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)に言及。巨大化する中国を念頭に、台湾海峡の平和と安定の重要性が共同宣言に明記されたことや、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する西側の新たな途上国向けインフラ支援構想「Build Back Better World(B3W)」で合意に至った点など、G7各国が足並みをそろえたことを評価しました。

また、過去の歴史においてペスト(黒死病)やスペイン風邪などのパンデミックが文明の大転換期に影を落としたことを例に、コロナ禍の現在が新たな文明史的転換期であると指摘し、今後の世界が中国を中心としたパックス・シニカ(中華治世)となるか太平洋圏の平和文明を志向するパックス・パシフィカ(環太平洋文明圏)が実現するかの分岐点に立たされていると強調しました。

こうしたなか、多くの課題を抱える現在の日本について、梶栗会長は今こそ歴史と地球儀を俯瞰する視座に基づいた令和日本の国家ビジョンを打ち出すことが必要との考えを明らかにしました。その上で、平和大使運動が掲げる①家庭を基本単位とした経済・社会システムの構築②海洋政策強化と太平洋海洋同盟③アジア太平洋地域の平和と繁栄への積極的貢献④日米韓の緊密な文化交流と知日派の育成⑤日韓トンネル建設――について理解を求めました。

さらに、梶栗会長は日韓関係に関連して、昨年開戦70周年を迎えた朝鮮戦争で参戦16カ国以外に約8000人の日本人が米国の後方支援としての役割を担っていたとする研究について紹介しました。そして、こうした経緯から、大陸文明と海洋文明の交差点であり、東西南北問題の縮図となっている朝鮮半島の平和と安定に日本が役割を担っているとし、当事国の韓国と手を携え、米国とともに環太平洋に海洋平和文明を創建する主導的担い手とならなければならないと訴えかけました。

続いて、元青函トンネル竜飛事務所副所長で、現在、国際ハイウェイ財団・日韓トンネル技術委員会委員長を務める竹内雄三氏(=写真下)が、日韓トンネルの実現性を技術面から報告しました。

竹内氏は日本列島の形成過程を説明したのち、日本における海底トンネルの代表的プロジェクトである青函トンネルの歴史を紹介しました。自身も調査から設計、工事に携わった立場から、青函トンネルが長大海底トンネルにおける建設技術の確立に貢献したと述べました。

その上で、竹内氏は現在の技術を駆使すれば、日韓トンネルの実現は可能であるとし、実現に向けての現状と今後の展望について説明しました。

質疑応答の時間には、会場の参加者から地震などのリスクや建設にかかるコストなどの質問が投げかけられました。

参加者からは、「梶栗会長の講演を聞き、島国である日本がハイウェイ(道路)で世界とつながることの重要性を理解できた」「日韓トンネルの実現可能性について、技術的に全く問題ないことを改めて確信した」「(日韓トンネルは)両国の和解のプロジェクトとして大変良いと思う」などの感想が聞かれました。