「ポストコロナの世界―平和秩序と日本の役割」をテーマとするILC特別懇談会(主催:UPF-Japanと平和政策研究所)が6月30日、東京都内のホテルで開催され、国際政治と家庭問題の専門家、ジャーナリスト、国会議員をはじめとする25人の専門家、有識者が活発なディスカッションを行いました。

冒頭、主催者を代表してあいさつした林正寿・早稲田大学名誉教授(平和政策研究所代表理事)は、「人類の歴史は感染症との闘いの歴史であった。第一次世界大戦の犠牲者は1千数百万人だったが、同じ時期に流行したスペイン風邪の犠牲者は5千万人を超えると言われており、戦争の犠牲者をはるかに上回った。過去において戦争と疫病によって社会制度が大きく変化してきたが、今回のコロナによってどう変わるのかは興味深い問題だ」と語りました。

続いてUPF-Japanの梶栗正義会長は、「目下、世界は大混乱の中にある。これはコロナ以前から種としてあったものが、加速化されている状態だ。米中の対立は世界の隅々にまで影響を与えている。米国は大統領選を前に内戦状態のようになっている。こうしたなかで、自民党の中に新国際秩序創造戦略本部が立ち上がったことは、国際社会における日本の存在感を示すうえで意義が大きい」と語りました。

ディスカッションに参加した有識者たちは、ポストコロナの世界におけるナショナリズムの台頭、米中の対立という国際情勢の中にあって、日本の果たすべき役割について熱い議論を交わしました。またコロナの問題は、ものづくりの面で中国に依存しすぎていたこと、日本の第一次産業が外国人労働力に大きく支えられていたこと、さらに東京一極集中の弊害など、日本の抱える課題を浮き彫りにしたことなどが指摘されました。

家庭問題の専門家は、外出自粛と「ステイホーム」によって日本の家庭が抱える課題も浮き彫りになったと指摘し、これからの家族支援のあり方としての「家族療法」の必要性を訴えました。

コロナ後の世界は、米国の影響力が低下して中国の影響力が強まるのか、逆に中国の脆弱性が増すのか、それとも米中ともに影響力を失っていく「Gゼロ」の世界になるのか、識者の間で活発な議論が交わされました。

今回のパンデミックを通して、もし国際システムを大きく変えるような「文明の転換」が起こるのであれば、その中で日本は世界をリードする積極的な役割を果たしていくべきだという点では意見が一致しました。